2026年の訪日外国人旅行者数は4000万人突破が確実視されている状況にある。しかし、この好調なインバウンド需要にもかかわらず、民泊の平均稼働率は45%程度(2025年の業界推計)にとどまっているのが実情だ。
訪日需要は堅調も民泊は苦戦
JTBが発表した2026年の旅行動向見通しでは、訪日外国人旅行者数は4,140万人(前年比97.2%)と予測されている。一方で民泊市場に関する分析によると、2026年2月時点でも廃業率は約37~38%程度で推移していると業界関係者は推計する。
累計届出件数は5.7万件(2024年11月時点)と増加しているが、廃業率も36~38%に達し、実稼働物件数は3.7万件にとどまる状況が続いており、市場全体としては成長期から淘汰期へ移行している。
稼働率が伸び悩む構造的要因
民泊の稼働率が伸び悩む背景には、複数の構造的課題がある。ホテル・旅館の価格競争力向上によりビジネスホテルチェーンの低価格プランが充実し、民泊との価格差が縮小。清潔さ・安全性でホテルを選ぶ旅行者が増加しているためだ。
観光庁の宿泊実績調査によると、届出住宅あたりの平均宿泊日数は17.2日(2ヶ月間)で、年換算すると約103日となり、住宅宿泊事業法(民泊新法)の上限180日に対して約57%の稼働水準にとどまっている。
AI価格最適化ツール導入が加速
こうした厳しい競争環境の中、2025年から2026年にかけて、AIを活用した価格最適化ツールを導入する事業者も増加している。OTA(オンライン旅行会社)のアルゴリズムを理解し、競合物件の価格動向をモニタリングしながら最適な価格帯を設定することが重要になっている。
国内旅行消費も拡大しており、民泊の需要はインバウンド一辺倒ではない。特に、ファミリー・グループ・長期滞在は「ホテルでは取りづらい」領域で、民泊が強いカテゴリとなっている。
宮城・東北での民泊展開への示唆
全国的な民泊市場の動向は、宮城県や仙台市、東北エリアで民泊を検討する事業者にとっても重要な参考情報となる。訪日外国人旅行者の増加は続く見通しであるものの、単に施設を用意するだけでは稼働率の確保が難しい状況だ。
地域独自の魅力を活かした体験提供や、国内旅行者も含めた幅広いターゲット設定、AIツールを活用した価格戦略など、多角的なアプローチが求められる時代になっている。


