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東北6県の外国人材活用度、全国下位に|宮城は留学生多数も県内就労に課題

公開日: 2026年4月9日

2026年1月、七十七リサーチ&コンサルティングが総雇用者数に占める外国人労働者数の割合を「外国人材活用度」として都道府県別に調査したところ、東北各県は下位にとどまり、地域間格差が大きいことがわかりました。宮城県内の中小企業にとって、外国人材の採用と定着は今後ますます重要な経営課題となっています。

東北6県の外国人材活用度、全国下位に集中

2022年の外国人材活用度をみると、東京都が6.54%(15人に1人)と最も高く、北関東(群馬、茨城、栃木)、東海(愛知、静岡、岐阜、三重)と滋賀を加えた上位9都県に、全国の外国人労働者の53.3%が集中していました

一方で東北地方では厳しい状況が続いています。最も低いのは秋田県の0.60%(166人に1人)で、青森(0.83%)、山形(0.96%)が続き、東北で最も高い宮城県(1.35%、74人に1人)でも34位、福島(1.20%)39位、岩手(1.05%)は43位にとどまりました

この傾向は一時的なものではなく、12年、17年のデータでも上位、下位はほぼ固定していたとのことで、構造的な課題であることが明らかになっています。

宮城県の特徴:留学生は多いが県内就労に結びつかず

宮城県は東北の中では外国人材活用度が最も高いものの、その内訳には大きな特徴があります。

宮城県の2024年の外国人労働者数は過去最多の1万9554人で、10年の4.6倍、全国の3.5倍を上回るペースで伸びています2024年10月末時点で、宮城県内の外国人労働者を雇用している事業所数は3,268事業所、外国人労働者数は19,554人で、平成19年度に届出が制度化されて以降、過去最高の数値となりました

しかし、在留資格別では留学生の資格外活動が5609人と多く、構成比も28.7%で、全国の13.5%と比べ際立って高い状況です。仙台市に大学や専門学校、日本語学校が集中していることが要因とみられます。

留学生は飲食店でアルバイトをすることが多く、宮城県は宿泊・飲食業の外国人材活用度(22年)が2.46%で、全国26位と相対的に高い一方で、卒業後に県内企業への就職につながるケースは限定的です。

東北が外国人材を呼び込めない3つの理由

調査を行った七十七リサーチ&コンサルティングの大川口信一研究顧問は、「東北地方は、建設業に偏りが大きく情報通信業の比重が低い産業構造や、所得水準が低いことから、外国人労働者の流入が進まない」と課題を指摘しています。

具体的には以下の3つの要因が考えられます。

  • 産業構造の偏り:建設業や製造業が中心で、情報通信業などの高付加価値産業が少ない
  • 所得水準の低さ:首都圏や東海地方と比較して賃金水準が低く、外国人材にとって魅力が低い
  • 都市部への人材流出:留学生が卒業後に東京などの大都市圏へ就職してしまう

東北各県の労働局が2026年1月30日までにまとめた2025年の外国人労働者数(10月末時点)は、6県とも過去最多を更新し、合計で6万1886人と前年同期より4369人(7.6%)増えましたが、全国的に見れば依然として低水準にとどまっています。

石巻地方では水産・建設・介護分野で外国人材が不可欠に

一方で、地域によっては外国人材が地域経済を支える重要な存在になっています。

宮城労働局がまとめた2024年10月末時点の石巻地方で働く外国人労働者数は、前年比9.9%増の1646人で、初めて1500人を超え、東日本大震災前の3倍近くに達しました

ハローワーク石巻の担当者は「事業所からは『日本人が入ってこない』という声をよく聞き、外国人に頼るしかない状況だ。水産加工だけでなく建設や漁業、介護、看護の分野にも広がっており、増加傾向は今後も続くのではないか」と話しました

宮城県・自治体が進める外国人材支援策

こうした状況を受けて、宮城県や仙台市では外国人材の採用・定着を支援する取り組みが進んでいます。

宮城県は2026年1月20日、「外国人材に選ばれる県内企業」を増やすため、採用戦略の策定や社内規定の整備、社内コミュニケーションの活性化等に悩む県内企業に対して、コンサルティングによる支援を実施した報告会を開催しました

支援対象となった県内企業は、以下のような課題に取り組みました。

  • 外国人材採用市場について理解できていない
  • 在留資格変更について理解ができていない
  • 採用戦略、選考指標や組織の体制整備ができていない
  • 外国人社員育成の体制・仕組みができていない

また、宮城県は「外国人材高度化転換支援事業」として、県内中小企業が行う技能実習生・特定技能外国人の継続就労及び日本語学習等に関する各種取組に要する経費の一部を補助しており、外国人材の県内定着を図っています。

関連情報

宮城県の外国人材マッチング支援事業「Work in MIYAGI」では、在留資格や受け入れ体制に関するセミナー、合同企業説明会などを開催し、専任コーディネーターがマッチングから入社までワンストップで支援を行っています。

中小企業が今すべきこと|留学生の県内就職支援がカギ

東北地方、特に宮城県の中小企業が外国人材を採用・定着させるために重要なポイントは以下の通りです。

  • 留学生との接点づくり:県内の大学・日本語学校と連携し、在学中からインターンシップや企業説明会で接点を持つ
  • 賃金・待遇の見直し:首都圏との競争を意識し、適正な賃金水準と福利厚生を整備する
  • 在留資格の理解:特定技能、技術・人文知識・国際業務など、自社に適した在留資格を正しく理解する
  • 定着支援体制の構築:日本語教育、生活支援、キャリアパスの明確化など、長期的に働ける環境を整える
  • 県の支援制度活用:補助金やコンサルティング支援など、自治体の支援策を積極的に活用する

東北6県の外国人材活用度が全国下位である現状は、裏を返せば「まだ伸びしろがある」ということでもあります。仙台市を中心に多くの留学生が学ぶ宮城県では、彼らを卒業後に県内企業へとつなげる仕組みづくりが急務です。

外国人材は単なる「人手不足の穴埋め」ではなく、企業の成長戦略を担う重要なパートナーです。採用から定着まで、長期的な視点での受け入れ体制整備が、これからの宮城の中小企業に求められています。

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