永住許可要件が2026年10月から厳格化、年収基準は日本人世帯平均以上に
政府は外国人の永住許可を大幅に厳しくするガイドラインを10月1日に決定し、来年4月から適用する。同時に在留資格を変更、更新する際の手数料も大幅にアップとなり、外国人材の受け入れや在留管理において企業実務が大きく変わる。
永住許可の3要件と改定内容
永住許可は「活動・期間の制限が無く、生涯を本邦で過ごすことが想定される最も安定した法的地位」であることから「特に慎重な審査を行う必要」があることが初めてガイドライン上に明記され、「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」および「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」に関して、大幅な審査基準の厳格化が行われる。
具体的には、以下の4点が変更される:
- 年収要件の引き上げ
新基準では「日本人世帯の平均年収水準(約450万~500万円以上の予定)」を継続して維持していることが求められる。これまでは単身者で300万円程度が目安だったが、大幅に厳格化される。 - 年金要件の新設
将来の受給見込額を評価(不足分は預貯金等で補完)する要件が新たに設けられる。厚生年金に30年加入した場合に相当する受給見込額が基準として検討されている。 - 配偶者特例の要件伸長
これまで「結婚後3年経過・日本在留1年」で申請可能だった日本人・永住者の配偶者に関しても、今後は「結婚後5年以上かつ日本在留3年以上」が必要となる。 - 日本語能力要件の追加(2027年4月予定)
日本語能力や日本の制度理解に関する要件が新たに追加される見込み。詳細な基準はまだ検討中だが、公的義務の「納期限厳守」も絶対条件となる。

適用時期と遡及適用のリスク
2026年10月1日から「年収要件(日本人世帯平均以上)」の新基準が先行適用される。ただし2026年4月以降に提出された永住許可申請についても、同年10月に改定される新たな年収基準を適用する可能性があるとされており、すでに申請済みの案件にも影響が及ぶリスクがある。
企業実務における留意点
外国人材採用を進める企業の人事・総務担当者にとって、以下の点が重要となる:
- 採用時の給与設定:永住許可取得を見据えた外国人材の給与は、世帯構成に応じた日本人世帯平均以上の水準を意識した設定が必要。
- 長期雇用計画の見直し:育成就労制度や特定技能での受け入れを経て永住資格を目指す場合、これまで以上に長期的な人材育成計画と経済的支援が必要になる。
- 税金・年金の納期限厳守:外国人従業員の給与天引きなどを通じて、公的義務の納期限厳守を徹底する体制整備が必須。
- 申請時期の戦略的検討:2026年4月以降の申請は新基準が遡及適用される可能性があるため、申請時期の選択に注意が必要。
政策転換に対する専門家の懸念
国立社会保障・人口問題研究所の是川夕国際関係部部長は「政府は外国人を使い捨てするのではなく、真面目に働き日本に貢献すれば永住もできるようになるとしてきた。この従来方針と矛盾する政策だ」と指摘し、「ゴールのはずの永住資格の要件を、綿密な設計なく大幅に厳格化してしまった。政府のこれまでの取り組みを自ら阻害し、外国人材の受け入れや育成に打撃を与える懸念がある」と警鐘を鳴らしている。
出入国在留管理庁は永住者の生活保護率が日本人と同水準との調査結果を踏まえ、要件を厳しくしたとされているが、外国人材採用の戦略に影響をもたらす可能性がある。企業は採用計画や報酬体系の見直しを含めた対応が急務といえる。

