経営・管理ビザ厳格化で外国籍経営者が危機、新規申請96%減
経営・管理ビザの要件が大幅に厳格化され、外国籍経営者から危機の声が相次いでいる。2025年10月、経営・管理ビザの許可基準が見直され、従来の資本金要件が500万円から3,000万円以上へ6倍に引き上げられた。さらに、これまでなかった申請者又は常勤職員のいずれかが日本語能力を有するなどの要件も加わった。
新規申請が96%減、事業継続の危機
厳格化前の5か月間では新規申請が1か月平均およそ1,700件だったのに対し、厳格化後の5か月間ではおよそ70件となり、約96%減少した。半数近い45.2%の企業が、何らかの影響を受けると回答。廃業を検討すると回答した企業も5.3%あり、在留資格の厳格化に伴い、日本で活動する外国人経営者の企業では、事業継続の断念も現実味を帯びている。

エスニック料理店の存亡危機
江戸川インド人会の会長で、インド料理店が立ち並ぶ東京・西葛西「リトルインディア」の父として知られ、長年、多文化共生を推進してきた実業家のジャグモハン・チャンドラニさんは、「このままだと9割のエスニック料理店が日本から消える」と懸念している。「資本金3000万円以上」に加え、「常勤職員1名以上の雇用」「日本語要件」など、一気にハードルが引き上げられたと指摘する。
制度改正の名目と現実のギャップ
経営・管理ビザの厳格化は、在留者が年々増え、ペーパーカンパニーなどの実態不明の企業を利用して日本に在留する外国人が増えている疑いがあるためだと、当局は説明している。しかしチャンドラニさんは「今回の変更は、外国籍者にのみ関わること。突然、要件を厳しくされている」と述べ、制度改正の手法に疑問を呈している。
既存事業者への経過措置と現実的な課題
施行後3年が経過するまで(令和10年10月16日まで)の間は、新たな基準を満たさない場合でも、そのことのみをもって在留期間更新許可申請が不許可になることはないという経過措置が用意されている。しかし、小規模事業者にとって3000万円の資本金準備は容易ではなく、更新時期に向けて事業継続への不安は高まっている。
一方で、専門家の間では「実体のないペーパーカンパニーや、在留資格取得だけを目的とした形式的な法人設立は排除されるべきだが、日本で真剣に事業を行い、雇用を生み、納税し、地域経済に貢献しようとする外国人起業家まで、入口段階で過度に排除してしまっていないか」と、制度改正のバランスが問われている。
地域経済への影響懸念
経営・管理ビザの厳格化により、資本金の大幅な引き上げ、経営経験の証明、事務所要件の強化、事業計画書への専門家関与の義務化など、従来に比べて「事業の実態」や「継続性」が問われるようになった。これにより、多くの地域で長年営業してきたエスニック飲食店が営業継続か廃業かの判断を迫られている。宮城県の中小企業経営者や人事担当者にとっても、今後の外国人材活用戦略の見直しが急務となっている。

