マレーシア雇用パスは6月から制度改正、インターン義務化で企業の事前対応が急務
雇用パス改正の概要:2026年6月1日施行
マレーシア内務省(MOHA)は、2026年6月1日より新たな外国人駐在員雇用ポリシーと改訂されたEmployment Pass(EP)給与フレームワークを導入します。本ポリシーは、EPカテゴリーI・II・IIIの最低給与基準の改訂、駐在員雇用期間の上限設定、EPカテゴリーII・IIIを対象とした後継者(サクセッション)計画の義務化、雇用管理の強化などを含みます。
マレーシア内務省は2026年1月に正式発表し、同年6月1日から新基準が適用されています。最低月額給与がすべてのカテゴリーで約2倍に引き上げられ、雇用パスの在留最長年数も初めて明確化されました。

最低給与基準の大幅引き上げ:企業の給与見直しが必須
1人の駐在員が雇用パスの認可を取得できる最長期間が10年になったとみられます。雇用パスで10年以上マレーシアに滞在する日系企業関係者もいるところ、本政策については遡及しないとされています。
マレーシア政府がこの改定を行った背景には、第13次マレーシア計画に掲げた「高度人材偏重・外国人依存の解消」という国家戦略があります。低コストで外国人を雇用することを難しくし、マレーシア人材の優先採用を促す意図です。
新たなインターンシップ義務化の仕組みと実施期限
インターンシップ制度については、6月1日以降にEPの発給を受けると、タレントコープから通知が届き、通知を受けてから12カ月以内にマレーシア人のインターンシップ生を受け入れる必要があります。インターン生の募集や受け入れなどインターンシップの実施にはMyNextポータルのシステムを利用することになっています。
駐在員サービスセンター(MyXpats)またはマレーシア・デジタルエコノミー公社(MDEC)を通じて雇用パス(EP)の承認を受けた企業が対象となります。
実務上の課題:システムの不完全な運用状況
6月1日以降のEP取得者について通知が来ていない、同システムにEP取得者やインターンシップ枠の人数が反映されていないなど、十分に機能していない状況もみられ、当局の対応が待たれています。
また、マレーシア投資開発庁(MIDA)が管轄する企業・団体は2026年3月16日以降、InvestMalaysiaにログインし、「MIDA Expatriate System(MES)」タブからEPを申請することになりました。EPは通常、クアラルンプール国際空港で新規発給を受けられますが、MESは同空港での発給に対応していないため、入国後、発給まで就労できない待機期間が生じます。
企業が今すぐ取るべき対応:事前準備が重要
ジェトロが開催したセミナーでは、制度変更への対応を促しました。従来はManaging Director(MD)といった役職であっても、給与額に応じてカテゴリーIIで申請することが可能であり、特段の問題はありませんでした。しかし、今回の変更でカテゴリーIIおよびIIIに現地人材への引き継ぎ計画の提出が求められることになり、カテゴリー区分が役職の序列と結び付いているようにみられるという。
マレーシア進出企業の人事・総務担当者は、既存の駐在員の雇用パス更新タイミングと新規赴任の別に戦略を分ける必要があります。特に新規申請企業では、最低給与基準、インターン受け入れ体制、後継者育成計画の作成が申請要件となるため、赴任前の十分な準備期間を確保することが重要です。

