観光庁、条例による民泊の実質営業禁止を2026年6月中に通知へ
観光庁の村田茂樹長官は2026年6月17日の会見で、自治体が条例改正によって住宅宿泊事業(民泊新法)に基づく民泊営業を実質的に禁止できることを認める通知を、2026年6月中に発出する方針を明らかにした。全国の民泊事業者にとって、今後の事業計画を左右しうる重大な政策動向として注目を集めている。
条例による「実質禁止」容認の背景
住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)は、届出制により参入しやすい仕組みとして2018年に施行された。しかし全国的に民泊施設が増加するなかで、ゴミ・騒音・マナー違反といった近隣トラブルが相次ぐようになった。
NHKクローズアップ現代が2026年1月に報じたとおり、全国に約3万6000件のニーズが高まる民泊でゴミや騒音トラブルが相次ぎ、自治体による規制強化の動きが進んでいる。東京・新宿区では異例の廃止命令が出されており、住民の生活環境保護を優先する動きが全国的に強まっている。
こうした状況を受け、観光庁は自治体が地域の実情に応じて民泊を制限・禁止できる法的根拠を通知という形で明確化する方向に踏み切った。民泊事業者や参入を検討している事業者にとって、自治体ごとの条例確認がこれまで以上に重要になる。
大阪市は特区民泊の新規受付を2026年5月に終了
今回の観光庁の方針と軌を一にするように、民泊施設が全国最多規模で集中する大阪市でも規制の転換点が訪れている。大阪市は特区民泊の新規受付を2026年5月で終了することを正式決定した。その理由としてゴミ・騒音などのトラブル増加が挙げられており、利便性の高い都市部ほど規制が強化される傾向が鮮明になっている。
また、豊島区では住宅宿泊事業の適正な確保に関する条例が改正され、令和7年(2025年)12月15日より施行されるなど、各自治体が独自の上乗せ規制を設ける動きは全国で加速している。
民泊届出件数は約5.9万件、淘汰期が続く
規制強化の一方で、民泊市場そのものの規模は依然として大きい。2026年1月15日時点での住宅宿泊事業の累計届出住宅数は59,427件に達している。しかし廃業率は約37〜38%程度で推移しており、新規参入と廃業が同時に進む「淘汰期」の様相が続いている。
今後、観光庁の通知によって地域ごとの制限がさらに厳格化されれば、都市部での新規参入は一層難しくなる可能性がある。その一方で、規制が比較的緩やかな地方都市や東北エリアでは、ホテル・旅館の不足を補う形での民泊需要が引き続き期待できる。
民泊を始めるうえで今確認すべきこと
住宅宿泊事業(民泊)を検討している事業者は、以下の点を必ず確認することが求められる。
- 物件所在地の自治体条例:観光庁通知を受けた条例改正の有無・内容を確認する
- 営業可能区域・日数制限:住居専用地域での制限や年間180日上限の遵守
- 近隣への説明・対応体制:墨田区・豊島区などでは近隣説明会義務が強化されている
- 住宅宿泊管理業者の活用:不在型運営では届出登録を受けた管理業者への委託が義務
住宅宿泊事業法(民泊新法)は届出制で参入ハードルが低い一方、自治体ごとに条例規制が異なる。2026年6月の観光庁通知を機に、各地の条例動向をこれまで以上に注意深くフォローすることが、事業の安定運営に直結する。
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