タイ政府がカンボジア人新規労働者の入国を禁止、民間業界の人手不足懸念が深まる
安全保障を理由にカンボジア人新規労働者の入国を禁止
タイ政府は2026年3月11日、安全保障上の懸念を理由として、カンボジア人移民労働者の新規入国を認めない方針を改めて確認した。民間業界からの強い要請にもかかわらず、この立場を維持する姿勢を示した。Bangkok Postが報じた。
労働大臣のトリーヌット・ティエントン氏は、企業が抱える人手不足への懸念は理解しているとしながらも、政府の方針に変更はないことを明言した。同大臣は商業・工業・銀行合同常任委員会(JSCCIB)との会合後にこの発言を行った。
タイ・カンボジア国境紛争が労働政策に影響
カンボジア人労働者の雇用問題が重大な懸念事項となったのは、前年に発生したタイ・カンボジア国境紛争がきっかけだ。同紛争以降、両国間の労働者受け入れを巡る議論は複雑化している。タイ国内で就労中のカンボジア人労働者については、労働省が管理・監視のための5つの基本方針を再確認した。また、雇用局には移民労働者を継続的に監視・管理するための厳格で明確な措置の策定が指示された。
製造業・輸出産業が深刻な人手不足に直面
民間業界からは、製造業や輸出産業を中心に外国人労働者の不足が深刻な問題として訴えられている。タイ工業連盟(FTI)の新会長プイムチャイ・リーイッサラーヌクル氏はJSCCIB会合を主宰し、政府に対して雇用手続きの簡素化と就労許可の延長を要請した。これにより、製造業・輸出産業への影響を最小限に抑えるよう求めた。
JCCIBは、隣国からの移民労働者の雇用に対する法的障壁の緩和と就労許可の更新が、競争力・経済成長・輸出の維持に不可欠だと主張している。また、移民労働者の採用に関する戦略的枠組みが必要だとして、主要産業の安定と適切な規制、経済発展と社会秩序の両立を実現するよう政府に求めた。
短期・中長期対策に向けた政府との協議へ
JCCIBは、今後短期・中期・長期にわたる労働問題への対応策を政府と協議する予定だ。同委員会は2026年のGDP成長率を1.2〜1.6%の範囲で維持するとの予測を変えていないが、中東情勢の長期化による原油価格や物流コストの上昇といったリスクも指摘している。外国人労働者の問題はタイの産業競争力に直結しており、政府と業界双方にとって引き続き優先課題となっている。

