米国がミャンマーパスポート所持者の渡航を禁止、在米学生や家族再会に深刻な影響
2026年6月4日、米国政府はミャンマーパスポート所持者を対象とした渡航禁止措置を発効させた。Irrawaddyが報じたところによると、この措置は在米ミャンマー人コミュニティの学生や、家族との再会を計画していた市民に直接的な打撃を与えている。
渡航禁止の概要と対象者
今回の渡航禁止措置はミャンマーパスポート所持者を広く対象としており、米国内に居住するミャンマー系移民コミュニティに深刻な影響が及んでいる。インディアナポリスには推定3万人のミャンマー人が暮らしており、そのほとんどはチン族系の移民とされる。同コミュニティでは、トランプ政権の経済政策と重なる形でこの渡航禁止が生活を圧迫しているという。
留学生・学生ビザ保持者への影響も顕著だ。渡航禁止の発効により、ミャンマー人留学生は学業継続のための渡航や帰国後の再入国が困難となっている。Irrawaddyは、この措置が「家族の再会と学生(留学生)双方に影響する」と明記しており、教育を目的として渡米を計画していた若者にとっても大きな障壁となっている。
経済・送金への波及懸念
ミャンマー国内経済にとって、在外労働者からの送金は重要な外貨源となっている。タイに約400万人と推定されるミャンマー人出稼ぎ労働者からの送金は特に規模が大きいが、米国在住のミャンマー人からの送金も一部の家庭の生活を支えている。渡航禁止が長期化すれば、家族の訪問や新規渡航計画の中断を通じ、間接的に送金ルートや規模にも影響が及ぶ可能性が指摘されている。
加えて、トランプ政権が2026年4月10日に発動したミャンマー産品への45%関税(2026年7月9日まで猶予)も、ヤンゴンからレストランや食料品店に基本物資を供給するコストを既に40%押し上げているとされる。渡航禁止と関税という二重の圧力が、在米ミャンマー人コミュニティの経済基盤を同時に締め付けている構図だ。
軍政・徴兵法との絡み合い
ミャンマー国内では、軍政による徴兵法の執行が出国を一層困難にしている。ヤンゴン国際空港では、ナイピードーから直接派遣された当局者が徴兵対象年齢(主に22〜32歳)の若者を重点的に審査しており、適切な書類を持っていても出国を阻まれるケースが多発している。こうした二重の規制——ミャンマー国内の出国制限と米国の入国禁止——が重なることで、渡米を目指すミャンマー人の選択肢は著しく狭まっている。
ミャンマー国内の就労機会や教育環境が内戦の長期化によって大幅に制限されるなか、海外への出口も閉ざされつつあるミャンマーの若者・学生の状況は一段と厳しさを増している。
国際社会の関与縮小も懸念材料に
一方で、国際的な支援の枠組みも縮小の方向にある。世界食糧計画(WFP)は職員を最大30%削減する方針を示しており、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も総コストを30%削減すると発表している。人道調整事務所(OCHA)も同年4月に職員の20%削減を表明した。米国が同機関への主要資金拠出国であることを踏まえると、渡航禁止による人的交流の断絶と資金支援の縮小が複合的にミャンマー支援の基盤を揺るがす恐れがある。
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