ホームHTP NOTESニュース > インドネシアの不就学児童問題、大統領令制定後も「席ではなく道筋が必要」と専門家が指摘

インドネシアの不就学児童問題、大統領令制定後も「席ではなく道筋が必要」と専門家が指摘

公開日: 2026年7月8日

インドネシアで2026年に施行された大統領令(Perpres)第3号/2026は、不就学児童の問題に取り組むための政策枠組みを定めており、初期目標として64万5000人の児童を学校に復学させること、そして2045年までに不就学ゼロを実現することを掲げている。しかし、教育専門家や論者からは、政策の方向性に対して慎重な評価が相次いでいる。

大統領令が定める枠組みと目標

Perpres第3号/2026は、不就学児童の予防と対応を目的とした初めての包括的な大統領令だ。初等・中等教育省が推進する解決策には、オープンスクール、遠隔教育、同等性認定プログラム、地域コミュニティに根ざしたインクルーシブ教育が含まれている。政府はこれらを組み合わせることで、学校に通えない状況にある多様な子どもたちを取り込もうとしている。不就学児童の実態は均一ではなく、一度も学校に通ったことのない子ども、途中で退学した子ども、一段階の教育を修了したまま進学できていない子どもなど、様々なケースが存在する。

「就学の場」だけでは不十分との批判

The Jakarta Postに2026年6月29日付で掲載された論評は、この政策の限界について鋭い問いを投げかけている。執筆者は、入学率の引き上げだけを目標とするならば、政策の本質を見誤っていると論じた。子どもたちに必要なのは「席」ではなく、再び学びを可能にする「道筋」だとし、各児童が置かれた特有の事情に応じた柔軟な対応が求められると強調した。南スラウェシ州パンケプ県の沿岸地域では、漁師の親とともに何日も海上で過ごす子どもたちがおり、伝統的な学校教育では対応しきれない現実がある。

カリキュラム改訂の繰り返しへの問題提起

同じくThe Jakarta Postに2026年7月1日付で掲載された論評では、インドネシアの教育不振の本質的な問題について分析がなされた。インドネシアは能力別カリキュラム(KBK)、学校基盤カリキュラム(KTSP)、2013年カリキュラム(K-13)、そして直近のメルデカ・カリキュラム(Kurikulum Merdeka)と、改革後の時代を通じて次々とカリキュラムの刷新を繰り返してきた。論者は、この繰り返しのパターンこそが問題であり、学習の遅れや教師の実践力の不足といった構造的弱点が、常に文書レベルの官僚的再設計によって応じられてきたと批判した。

  • Perpres第3号/2026で64万5000人の復学と2045年ゼロを目標に設定
  • オープンスクール・遠隔教育・地域インクルーシブ教育が政策手段として明記
  • 不就学児童の実態は多様で画一的な「就学の場」確保では不十分との指摘
  • カリキュラムの繰り返し改訂よりも基礎的認知習慣の形成が本質との論調

出典:The Jakarta Post

ご相談・お問い合わせはこちらから

お問い合わせする