米国の対中ビザ締付けで香港・本土学生の留学許可が最大42%減、HKUなど香港大学が受け皿に
米国政府による留学生ビザ審査の厳格化が、中国本土および香港の学生の米国留学に深刻な影響を与えていることが明らかになった。米国務省ビザ局が公表した統計によると、2025年6月〜8月(F-1ビザが通常発給される期間)に香港籍学生に発給されたF-1ビザは約900件にとどまり、前年同期の1,395件から35%減少した。これはコロナ禍初年の2020年(394件)に次ぐ、2018年以降で2番目に低い水準である。
中国本土学生への影響はさらに深刻
中国本土の学生への打撃はさらに大きく、米国の締付けにより2025年5月に本土学生への学生ビザ発給数が前年比42%減少したと報告されている。ビザコンサルタントは短期的な影響はあったものの、長期的には一時的なものになりうるとの見方を示しているが、中国本土の学生の間には米国留学への不安が広がっている。
トランプ政権の政策が留学意欲に影響
ある中国本土出身の博士課程進学予定者は、マサチューセッツ工科大学(MIT)からの入学オファーを辞退し、香港大学(HKU)に進学したと証言している。地政学的緊張によって米国の学術環境が損なわれたと感じたためとしている。トランプ政権は外国人学生の入学制限とハーバード大学などへの連邦資金削減を進めており、中国系学生を狙い撃ちにするかたちで中国共産党との関連を理由にビザを積極的に取り消す方針を打ち出した。
香港大学が代替留学先として台頭
こうした状況のなか、香港の大学が中国本土の学生にとって魅力的な代替留学先として急速に存在感を高めている。北京大学サステナビリティ研究所などがまとめた報告書「香港留学中国本土学生白書」によると、香港大学(HKU)では非本地学部生の63.4%、大学院修士課程在籍者の実に92.4%を中国本土出身者が占めている。2023〜24年度には香港の大学院課程に3万8,100人の非本地学生が在籍しており、2020〜21年度比で207%増加という驚異的な伸びを示している。香港政府は2026〜27年度から公立大学における自費留学生の入学枠を学部定員の40%から50%へ拡大する方針を発表しており、受け入れ態勢のさらなる整備を進めている。
日本語読者への背景解説
今回の動向は、米中間の教育・外交的緊張が留学生の移動にも直接波及していることを示す。中国本土の中間層を中心に、米国留学への姿勢が変化しており、地政学リスクや費用負担に加え、ビザ取り消しへの現実的な懸念が選択に影響を与えている。香港・英国・オーストラリアなどの英語圏大学が代替先として注目を集める傾向は今後も続く見通しだ。
出典:South China Morning Post(2026年4月6日)
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