中国の観光市場が2036年に世界最大規模へ、ビザ免除拡大が外国人訪問の急増を牽引
世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)が2026年6月3日に公表した「2026年経済インパクト調査報告書」によると、中国の旅行・観光市場は現在の約1.8兆ドルから2036年までに3.5兆ドルに達し、アメリカを抜いて世界最大の観光市場となる可能性が高いとされている。South China Morning Postが報じた。
外国人訪問者が急増、ビザ免除が主な牽引役
報告書によると、2025年における中国への国際訪問者数は約6800万人を超え、前年比15.5%増を記録した。外国人訪問者による消費額も前年比10.5%増の1350億ドルに達し、世界平均成長率(3.2%)を大幅に上回った。
この急成長の主要因として指摘されているのが、中国政府が推進するビザ免除政策の拡大だ。旅行マーケティング企業ドラゴン・トレイル・インターナショナルのディレクター、シエナ・パルリス=クック氏は、「2023年に開始され、50カ国以上の国民を対象としたビザ免除拡大措置がインバウンド旅行の拡大を主導している」と指摘した。
70カ国超へのビザ免除、入国の選択肢も多様化
現在、中国の入国管理当局は70カ国超の国民にビザ免除入国を認めており、乗り継ぎ旅行者には最大10日間のビザなし滞在を許可している。また、対象国の国民には最長30日間のビザ免除滞在も認められている。
2026年2月17日には英国・カナダ国籍者へのビザ免除入国が新たに解禁され、ファイブアイズ(Five Eyes)同盟国のうちアメリカを除く全加盟国への開放が実現した。従来のビザ申請は書類作成に加え、100ドル以上の費用と数日間の待機を要していたことから、この緩和措置は渡航者から高い評価を受けている。
2025年のビザなし入国者が3000万人超え
中国国家移民管理局は2026年1月、2025年においてビザなしで中国に入国した外国人の総数が3000万人を超え、前年比で約50%増加したと発表した。この数字はビザ免除政策の実質的な効果を示す指標として注目されている。
また同政策の普及とともに、対象者がビザなしで入国できる方法も多様化しており、航空・陸路・海路を通じた複数の入国経路が利用可能となっている。
現在の世界最大市場・アメリカを追撃
WTTCの同報告書によると、2025年時点で世界最大の観光市場はアメリカの2.63兆ドルであり、中国の1.8兆ドルはまだ差がある。しかし同協議会は、中国は「現在の成長トレンドが続けば、今後数年以内に世界をリードする旅行・観光経済になる軌道に確実に乗っている」と評価している。
高速鉄道網の拡充や国内旅行需要の拡大もインバウンドに間接的に貢献しており、ビザ政策の緩和と輸送インフラ整備の両輪が、中国の観光産業の急拡大を支える構造となっている。
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