経営・管理ビザ厳格化で新規申請者が8割減、資本金3000万円要件の実務対応課題
厳格化から1年、新規申請が8割減に
2026年上半期に経営・管理ビザで新たに入国した外国人は635人で、前年同期の3329人から80.9%減少した。ペーパーカンパニーを設立し、不正な移住の手段として悪用する事例があるとして、取得要件が厳格化されたものである。

引き上げられた5つの主要な新要件
従来の資本金要件が500万円から3,000万円以上へ6倍に引き上げられた。これは単なる数字の変化ではなく、事業運営全体に影響を及ぼすものとなっている。
資本金引き上げに加えて、以下の要件も同時に新設・強化された。「1人以上の常勤職員の雇用」が義務付けられ、申請者か常勤職員のいずれかが一定の日本語能力を持つことも求められるようになった。新たに経営者の経歴・学歴の要件も設け、「3年以上の経営・管理経験」または「経営・管理に関する修士相当以上の学位」を盛り込んだ。
在留資格の申請には公認会計士や税理士による事業計画の確認も求められるほか、業務委託など経営実態が乏しいと判断される事業は認められていない。
外国人経営者への影響の実態
東京商工リサーチが外国人経営者を対象に実施したアンケート調査では、「何らかの影響を受ける」とした企業が全体の半数近い135社あった。廃業を検討すると回答した企業も5.3%あり、在留資格の厳格化に伴い、日本で活動する外国人経営者の企業では、事業継続の断念も現実味を帯びている。
既存保持者への経過措置と対応時期
2025年10月16日の施行当時にすでにビザを保持していた方には、3年間の経過措置が設けられている。つまり、一部の既存経営者は時間的な猶予を得ているが、更新申請時には新基準への対応を迫られることになる。
人事・総務担当者が知るべき実務ポイント
外国人経営者を雇用している場合、その経営基盤の安定性確認が人事管理上の課題となる。改正後、常勤職員として認められるのは、日本人、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者のいずれかのビザを持つ外国人、または特別永住者である。技術・人文知識・国際業務や特定技能などの身分系ビザ以外を持つ外国人従業員は、経営・管理ビザの常勤職員要件としてはカウントされない点に注意が必要である。
既存の経営管理ビザ保有者が資本金を増資して3,000万円に引き上げる場合、増資手続きを行うだけでは不十分であり、増資した資金の出所から使用状況まで、一連の流れを透明性をもって証明する必要がある。
代替ビザの活用も選択肢に
資本金要件を満たせない場合の代替案として、高度専門職(1号ハ)ビザへの変更も選択肢となる。高度専門職では資本金要件がなく、ポイント制で評価される仕組みになっている。

